メンデルスゾーン(1809-1847)はドイツの作曲家・指揮者ですが、モーツァルトにも劣らないほどの早熟な音楽家で、一度でも楽譜を見たり、聞いたりした音楽を確実に覚えていたり、言葉も自分の国で使うドイツ語だけでなく、ラテン語、イタリや語、フランス語、英語までも話していたようです。彼は38年という短い一生に色々な種類の音楽をたくさん作曲していますが、有名なものには、「真夏の夜の夢」の劇中音楽、ピアノ曲の「無言歌集」、交響曲「イタリア」、「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」などがあります。彼は明るく甘美なメロディーで人々をうっとlりさせるような美しい音楽を作曲するのが得意でした。
「無言歌」 というものを誰が考え出したかについては、正確には知られていませんが、おそらくメンデルスゾーが発明したのだろうと伝えられています。「無言歌」は歌曲風な旋律(メロディー)と簡単な伴奏とで出来ていますが、この作曲の方法は、一定の音形の伴奏に乗ってメロディーをはっきり目立たせるという、当時の練習曲に影響されたものといわれていますし、「無言歌」は声を出して歌う音楽ではないので、歌曲のように音の高さや音域を気にする必要はなかったのです。
メンデルスゾーンの「無言歌集」の中では、この「春の歌」 が最も有名で、ピアノだけでなくヴァイオリン等でも演奏されていますが、その流れるようなロマン的でのどかな旋律(メロディー)は、いつでも聞く人を楽しい春の気分に誘います。曲の形式は単純ですが。装飾音符を効果的に使って、それまでのピアノ曲にはない美しい効果をだしています。
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