作詞の犬童球渓については「旅愁」 の項で述べたの
で、ここでは省略しますが、
ヘイズ(Hays William Shakespeare:1837〜1907)はアメリカの作曲家で、16才で作曲をはじめてから300曲に及ぶ通俗歌曲を発表しているが、《故郷の廃家:My
Dear Old Sunny Home》と《かわいいモリー:Mollie Darling》が日本では親しまれている。
明治40年代までにはメーソンや伊沢修二、滝廉太郎などを通じて諸外国の歌曲等もある程度どは収集されていたが、犬童が曲に詩を付けた「旅愁」にしても「故郷の廃家」
にしも、いずれも有名な民謡や作曲家の歌ではない、当時、唱歌にふさわしい、こんな名曲をよく見つけたものだと感心させられる。又、東京音楽学校で身につけた音楽の専門知識の上に、教育現場(女学校教諭)での指導経験があり
、地方から都会へ出て生活した体験等とも相まって、こうした名曲を見つけ、当時の生徒の心情に合った見事な歌詞がつけられたものと思われます。
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