文部省唱歌 「 茶摘 」

 この唱歌を学校で学校で習ったという覚えはありませんが、二人の姉が二人一組になって、「セッ セッ セッ 夏も近づく八十八や夜‥‥」と歌いながら手を打ち合わせて遊びながら歌っているのを何回となく聞いた覚えがあります。日本の民謡のように掛け声や合いの手を入れて歌うと調子がいい曲なので、特に女の子の遊び歌として流行したようです。この歌の歌詞は金田一春彦・安西愛子編日本の唱歌(上/講談社)の解説文では京都府綴喜郡字山田村の茶摘歌から採ったものだろうという曖昧な書き方がされていますが、京都府綴喜郡宇治田原町の郷土史家細川馬守さんのご指摘では、宇治田原町にはこのような歌詞の歌は伝承・記録されていないということです。
 
この唱歌はメロディーも伴奏も当時としてはなかなか斬新なもので、明治の末から昭和初期にかけては、子どもだけでなく大人にもよく歌われたと聞いています。今は小学校3年生の音楽教科書に掲載されています。

八十八や夜:立春(2月4日頃)から数えて88日目の5月2日頃のことで、この頃になると木々の若葉が一斉に広がり、お茶の葉の新芽も出揃って、茶摘の仕事がはじまります。
あれ:あそこ。あかねだすき:赤い色のたすき。菅の笠:すげという草で編んだ帽子のようなかぶりもの。ひより:穏やかな晴れの日。

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